共創事例紹介
知財・技術起点の共創により生み出された事例をご紹介します
共創事例
本社所在地:大阪府大阪市西区京町堀3丁目3番15号
業 種:工業用精密ゴム部品製造・販売
事業内容:精密ゴム成形品、感圧導電センサー「イナストマー」、
精密研磨ゴム球「イナボール®」、先端製品用クッション材
「ペタンクッション®」等の製造
共創技術#ストレッチャブルLED #渦巻き配線構造 #感圧導電性ゴムセンサー
【共創の課題】
大阪大学及び長岡技術科学大学とロボットハンドに取り付ける感圧センサーを共同開発していたが、電極部材がゴム素材の伸縮性に対して曲面追従しないという課題が残っていました。ゴム素材に対して導電印刷する等、様々な技術を試してみたが、耐久性や性能等品質面の課題を解消できない状態が続いており、ゴム素材の伸縮性を活かしたまま、品質面の課題を解決できる技術を探していました。
【共創経緯】
そのような中で、何か突破口を見いだせたらという思いを持ちつつ、鳥取県産業振興機構様が主催するビジネスマッチング・イベントに参加しました。その中で、パナソニックのストレッチャブルLED技術が紹介されており、ストレッチャブル構造が現在抱えている技術課題の解決のための参考になるのではと直感しました。そこで、鳥取県産業振興機構様を窓口としてビジネスマッチングが実現しました。
当初、提供された図面を見たときには本当に加工できるかどうか半信半疑だったが、その後提供されたサンプルを見て、この技術はモノになると確信しました。また、これまでの電極を扱う立場では辿り着くことが困難な独特な構造のため、その発想自体が面白く、どういった経緯でこの構造に辿り着いたのか、どのようなきっかけで着想を得たのかにも大変興味を持ちました。
【共創ストーリー】
これまで、大学との共同研究開発の経験はあったが、企業間での共同研究開発等共創活動は初めての試みでもあり、当初は相手にされるのかといった心配がありました。しかし、鳥取県産業振興機構様が窓口となってくれていたことに加え、パナソニックの知財担当者との対話を通じて、懸念は解消されていき、パナソニックの知財担当者を信頼できるようになっていきました。その間、イベント後の個別面談から秘密保持契約(NDA)を締結し、詳細な技術情報が提供されるまで半年かからず、早期に進んでいきました。
詳細な技術紹介後も、パナソニックの技術者からは迅速にサンプルやデモ機が提供されたため、図面だけでは確信を持てなかった技術に対しても理解を一気に深めることができ、抱えていた技術課題の解決策になり得ると確信を持つことができました。
共創活動における課題としては、独特の渦巻き構造をした配線基板を加工・製造できるメーカーがあるか、という懸念はあったものの、こちらも偶然の出会いを契機に加工・製造できるメーカーを見つけることができ、製品開発を進めていくことができました。
【共創による成果・今後の抱負】
イナバゴムの感圧ゴムセンサーに、パナソニックのストレッチャブルLED技術の渦巻き配線構造を利用することで、曲面に追従する特性を持った感圧導電性ゴムセンサーの開発に成功しました。これにより三次元で感圧を測定することが可能となりました。また、ベッド等の重さ・圧力により沈み込み、形状が変化するものでも、バラつきなく感圧測定が可能となりました。
今後は、大学と共同研究しているロボットハンドへの活用に加え、スポーツ分野等様々な分野にストレッチャブル感圧導電性ゴムセンサーを展開していくべく、開発に取り組んでいきます。
【参照/リンク】
■ 共創に活用されたパナソニックの技術
~ストレッチャブルLED~
・複雑な曲面形状や生体の動きに追従するLED
・独自の渦巻き配線構造により、高い伸縮性、堅牢性、導電性を実現
■ イナバゴム様との共創事例
~ストレッチャブル構造を有する、薄膜型触感センサーを活用した圧力分布計測システム~
・抵抗レンジの調整・使用用途に合わせた感度の調整が可能な薄膜型触感センサー
・曲面への追従性、伸縮性等を可能とするストレッチャブル基盤