共創事例紹介
知財・技術起点の共創により生み出された事例をご紹介します
共創事例
パナソニックの技術で、アジアのスタートアップ企業を支援
パナソニックは、保有する技術・特許の活用を社内外のパートナー企業に活用いただくことで、社会課題を解決していくために様々な取組を進めています。その取組みの一つとして、Piece Future主催のオープンイノベーションプログラム”IPHatch”に参画しています。IPHatchは、大企業の特許を起点として、大企業・スタートアップ間の共創活動を支援するプログラムであり、当社はプログラムの立ち上がり段階から積極参加しプログラムをリードしてきました。いまでは、パナソニック以外の多くの大手企業も参画しています。
今回、パナソニック特許を活用して事業成長する香港のスタートアップ(MUXIC社、Invisible Tech社、CU Coding社の3社)にインタビューを実施しました。IPHatchに参加して、パナソニックの特許技術を活用したいと考えるに至った背景や経緯、パナソニックの特許技術を選んだ決め手等、多岐に渡ってお話いただきました。
【業界リーダーとのつながりや学び、そして開発の加速化を求めて】
―IPHatchに参画した経緯を教えてください。また、パナソニック等大手企業の特許技術の活用に至る経緯を伺えますか。
(MUXIC)当時、メタバースを含むWeb3とAI分野の製品・サービス開発に取り組んでいました。その中で、教育、投資、インテリジェントディスプレイ等、様々なアプリケーション分野における機能を強化するとともに、新しい機能を創造するための技術開発を進めている段階でした。技術開発を進める中で、この技術分野における高い評価・知名度を持つパナソニックがIPHatchに参加していることを知り、パナソニックの人や技術とのつながりを得ることで、技術開発における学び・教訓を得たいと考えたことがIPHatchへの参画のきっかけです。
(Invisible Tech)オーディオ分野における業界リーダーの一つであるパナソニックがIPHatchに参画していることを知りました、そこで、そのパナソニックと協働することができ、自社のアイデアを検証、発展させ、洗練された高品質な製品開発を進めることができるのではないかと考え、IPHatchへの参加を決めました。実際に、IPHatchを通した協力関係により得られるフィードバックと洞察は自社の製品開発を進めていくうえで、非常に貴重であり、自社のソリューションを継続的に改善することに役立っています。パナソニックのような業界リーダーとの協力関係はテック業界における信頼性の確立にも貢献すると考え、大手企業の特許技術を活用したいと考えました。そのような目論見は期待通りであり、実際にパナソニック等の大手企業との協力関係は信頼感の醸成に貢献しています。
(CU Coding)IPHatchに参加する前は、開発した技術・製品を商業化する段階にありました。私たちは香港中文大学発という強力な技術的背景を持ってはいましたが、潜在顧客への技術の認知度が十分ではなく、新しい技術・コンセプトの導入に消極的な市場環境でした。そこで、通信・情報テクノロジー分野における著名な業界プレイヤーの特許や知財サービスを獲得することで、潜在顧客へのピッチストーリーを改善したいと考えたことがIPHatchへの参加及び大手企業の特許技術活用に至る背景です。
【大手企業の特許技術で、製品・サービスを進化】
―具体的にパナソニック等の特許技術を活用し、どのような製品・サービスの開発を進めましたか。
(MUXIC)パナソニックの「音判定装置」に関する特許技術を活用しました。この特許技術をメタバースやインテリジェントサイネージ等のバーチャルヒューマン製品・サービスにおける、音声変換/分離機能に活用しています。

(Invisible Tech)パナソニックの「サウンドフィールドコントロール」に関する特許技術を活用しました。この特許技術により、特定の範囲内における音場の正確な制御が可能となり、アップサイクル ・オーディオ製品やスマートホーム・オーディオ製品、更にはスリープテック製品等の製品群を統合することができるようになりました。パナソニックのサウンドフィールドコントロール技術をスマートピローに組み込むことで、枕内の音を正確に制御できるようになり、ノイズ干渉による顧客の不満に対処しながら、睡眠の質を向上させるための個別に最適化されたオーディオセラピー・ソリューションの開発が可能になりました。

(CU Coding)パナソニックからは特許技術ではなく、特許ランドスケープに基づく事業提案などの知財サービスを提供いただきました。別の大手企業の特許技術を活用することで、当初はストレージアプリケーションにのみ焦点を当て、バックアップやストレージサービスを提供しようとしていましたが、リアルタイムの追跡やアラート機能を提供できるようになり、より包括的なオールインワンソリューションの開発に進むことができました。

【特許技術から業界リーダー企業の知見を取り込む】
―パナソニック等大手企業の特許技術の中から、今回活用する特許を選んだ決め手は何ですか。
(MUXIC)パナソニックは技術分野において、強力なブランド力を有していることや、家電事業を行っていることから、高い技術力をどのようにコンシューマー向け製品・サービスに適用しているのか興味・関心がありました。そこで、パナソニックの特許技術を取り入れることを通して学びたいと考えました。

(Invisible Tech)パナソニックは、複数の業界にまたがる広範な事業ポートフォリオを持ち、世界でも最も技術革新的な企業の一つとして認知されています。そのような業界リーダー企業におけるイノベーション・プロセス、開発プロセスや特許管理について、貴重な洞察を得るとともに、その豊富な経験から学べないかと考え、パナソニックの技術を取り入れたいと考えました。

(CU Coding)自社のソリューション開発の方向性に適合しているかが決め手になりました。今回は、自社が保有する技術範囲外の技術が、より包括的なオールインワンソリューションを開発・提供するうえで、必要になったことを契機として選定しました。

■ MUXIC社の事業概要
MUXICは、次世代のエンターテインメントのための香港初の音楽共有プラットフォームであり、クリエイターとそのファンが音楽メタバースにシームレスに没入し、新しい形のユーザー体験と音楽エコシステムを創造することを可能にします。
Corporate Webサイト:https://www.muxic.io/
# AI Sports, Virtual Campus, AI Glass
■ Invisible Tech社の事業概要
Invisible Techは、IoT機能を統合した持続可能なオーディオ・ソリューションの研究開発、生産、販売を専門とするTechスタートアップです。持続可能性の問題に対応し、スマートリビング、小規模な作業スペース、eスポーツ、エンターテインメントの需要を満たすために製品をカスタマイズしています。これにより、テクノロジーに精通したライフスタイルの消費者に向けた新しい体験を提供します。
Corporate Webサイト:https://www.invisibletech.asia/
# Smart Audio Furniture, Insomnia Recovery Smart Pillow
■ CU Coding社の事業概要
CU Codingは、Gartner, Inc.によって「新興のインテリジェントインフラ市場における注目すべきプレイヤー」として評価されています。私たちのビジョンは、ネットワークコーディング技術を用いて、すべてのクラウドベースのデータハブの相互運用性をサポートする最も安全なITインフラを構築することです。
Corporate Webサイト:https://www.cucoding.com/
# nEdge, nCloud, nLoRa
<関連情報>
・IPHatch® | Open Innovation Challenge
https://www.iphatchday.com/ja
・東北大学プレスリリース:日本の大学として初めてIPHatch®︎の枠組みを活用したスタートアップ企業への特許権の譲渡を実施
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/04/press20250430-04-iphatch.html