共創パートナーインタビュー
実際にマッチングした共創パートナーに
インタビューをした記事を紹介します。
LEDの光と技が織りなす幻想的な夜の伝統工芸体験イベントの魅力づくり


香川県高松市牟礼町は、世界一高価な花崗岩、“庵治石(あじいし)”の産地として有名であり、数多くの源平合戦の史跡が残されています。
平成17年放映の「大河ドラマ・義経」の影響で脚光を浴び、「むれ源平まちづくり協議会」が発足し、「源平史跡」と「石材産業」をPRするため、源平史跡をライトアップしつつ、距離のある史跡と史跡の間に石あかりを設置して歩き楽しんで「石あかりロード」のアイデアに発展しました。
同イベントにパナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)及び、パナソニックIPマネジメント株式会社が、LED光源を活用してスマートフォンに効果的な情報提供ができる「光ID」※1で技術協力しました。わずかな光源でもスマートフォンをかざすだけで関連する情報を表示するコミュニケーション特性を活かし、仄かな灯りで情緒ある風情を活かしたエンターテインメント性の高い体験価値の創出に活用いただいたことで、単にイベントの利便性を高めるだけではなく、近年注目の「ナイトタイムエコノミー」※2の新たな活用を示唆するものにつながっています。
※1 LED光源から光ID信号を発信し、スマートフォンのアプリを介して情報を表示する可視光通信技術の一つ<参照/リンク>ビジネスヒント集2024~ヒラメキのタネ
※2 夜間(一般には、日没から日の出まで)の経済活動を通じて、地域の魅力や文化を発信し、消費拡大などにつなげる考え方
今回、「むれ源平 石あかりロード実行委員会」実行委員長の岡本氏、企画委員長の島本氏、委員会を支えたブランディングディレクターの吉岡氏、そして光ID技術のマッチングに貢献いただいた知財コーディネーターの小島氏に伺いました。

写真左2番目:むれ源平 石あかりロード 実行委員長 岡本氏
写真中央:むれ源平 石あかりロード 企画委員長 島本氏
写真右2番目:ブランディングディレクター 吉岡氏
写真右:知財コーディネーター 小島氏
写真左(聞き手):パナソニック ホールディングス 知的財産本部 黒田

(黒田)光ID技術に注目された理由はなんでしょうか?
(岡本 実行委員長)1kmにわたる本イベントでは、数多くの作品が存在しています。石あかりには作品名プレートをつけているのですが、夜間イベントであるために、プレート情報が読みにくい課題がありました。
(島本 企画委員長)この課題に対して、QRコードで対応する案もでましたが、これも読み取りにくさのハードルがあり、断念しました。
(吉岡 ブランディングディレクター)そんな折に、以前から接点のあった知財コーディネーターの小島さんのご紹介で、パナソニックHDの光ID技術のレクチャーを受けました。この光ID技術が石あかりロードの課題解決に繋がりうるのではと考え、企画委員長の島本さんに話をしました。
(島本 企画委員長)私は石あかりロードには先代とともにゼロの時代から携わっており、回を経るごとに浮き彫りになってきた課題を吉岡さんに話していましたので、そんな吉岡さんから光ID技術の話を聞いた際、来場者が持参するスマホと光ID技術をうまく活用できないかと考えるようになりました。

むれ源平 石あかりロード 実行委員長 岡本氏

むれ源平 石あかりロード 企画委員長 島本氏
(黒田)光ID技術の採用に至ったプロセスは何でしょうか?
(小島 知財コーディネーター)パナソニックHDとのマッチング相手を探す中で、知財マッチングに前向きな姿勢だった吉岡さんにアプローチしました。そこから島本さんと、パナソニック知財の方を含めたオンライン面談を設けました。面談後、パナソニック知財の方が高松に出向き、資料に記載していない技術の詳細や実際のデモ機を紹介してくださいました。
そこで、吉岡さんや島本さんが「この技術は使える!」とひらめいたようです。対面での技術紹介がなかったら今回の共創の話は進んでいなかったと思います。
デモ機があると技術を詳細に知ることができ、また、提供者の信用度も判断できる良い機会だと思います。実演後ぜひ使いたいとなり、技術的な実現可能性について議論を進めました。
(島本 企画委員長)光ID技術はもともとやろうとしていたQRコードの代替としてばっちりじゃないかとなりました。
(吉岡 ブランディングディレクター)ただ、検討期間が短く予算が固まっているなかで、石あかりの作品名表示に使用することは実現性が乏しいとの判断に至ったのですが、その代わりに光IDを用いたコンテンツ作成にシフトしました。
具体的には、香川県の伝統工芸品讃岐提灯にキャラクター「石あかりちゃん」を付けて、ARで「石あかりちゃん」と写真が撮れる「撮って!ちょうちんAR」、源平合戦にちなんだクイズで史跡を回るデジタルスタンプラリー「石あかりちゃんの光IDスタンプラリー」になりました。

撮って!ちょうちんAR

石あかりちゃんの光IDスタンプラリー