共創パートナーインタビュー

実際にマッチングした共創パートナーに
インタビューをした記事を紹介します。

03 「独特だけど、本当にできるのか?」

(黒田)パナソニックHD技術の第一印象は?

 追従性のある電極という意味では、ゴム素材でパターニングして作成されたものはすでに市販されています。ゴムメーカーなので、自社でゴムシートに導電インクで表面に印刷して伸縮性のある電極を作る取り組みは実施していました。また、鳥取県の産業技術センターと共同で開発をしようということで情報を貰いながら取り組んでいました。

 ゴムには伸縮性があるものの、導電印刷のパターンがゴムに追従しにくいという課題や、導電インクなので抵抗が場所や距離によってばらつく課題がありました。圧力センサーは抵抗変化で圧力を捉えていくので、パターンの抵抗がばらついてしまうと全体の特性もばらついてしまいます。結果として、伸縮性はあるので曲面への追従という目的は達成できるものの、特性が安定しないという問題点がどうしても残っていました。
 この時点ではゴム電極しかないと考えており、開発を続けていましたが、ビジネスマッチングまではこの開発をなんとか極めようと考えていましたが、限界を感じており、停滞気味になっていたという状況でした。また、耐久性も課題であり、従来の金属の電極パターンに比べると導電インクのパターンというのは耐久性も劣っていました。

 パナソニックHDのストレッチャブルLED技術は、電極の素材が金属で構成されているということで、不安定な要素がないという点に惹かれました。ただ、図面を拝見した第一感は、「これが本当にできるのか」と考えていました。電極の素材が金属パターンで作成出来るところに半信半疑であったものの、発想そのものがとても面白いと感じました。構造がすごく独特で、モノが出来上がってから考えてみればなるほどと思いましたが、そこに至るまでの発想は私にはないものでした。

04 糸口は夏の風物詩

(黒田)パナソニックHD技術のどこに惹かれたのでしょうか。

 デモ機で見ることができて、図面だけのものでないと感じたとき、「これはモノになる」と確信しました。普通に電極という部材を扱っている中でこの発想はおそらくないと思いました。どこでこの構造に最初に気付いたのか気になりました。そこは今でも知りたいところです。

 パナソニックHDの技術資料では蚊取線香構造の設計図面がありましたが、この構造では恐らく電極としては加工できないだろうと考えていました。実は弊社も過去に類似した加工に挑戦したことがあったのですが、この蚊取線香構造では「おそらく加工できないのではないか」と思っていました。これをどうやってその伸縮性のある構造に、実現したのだろうというところで現物を見させていただいて納得しました。曲面追従というのはいろいろなパターンがあるので、多分色々な形状を設計され選ばれたのだと思います。

 デモ機を見させていただき、隣同士が卍型に繋がっていく構造で、モノを見るとなるほどと思いましたが、弊社にはこの発想はありませんでした。基板を中抜きで成型していくというところはカットするしかないと思いますが、中々やってみようという発想にはなりませんでした。例えばシート上にスリットを入れて、放射状に広げていって張り付ける構造は挑戦したことがありますが、全体を伸ばせるような構造は全く思い浮かびませんでした。

05 「無形資産の巡らし」への共感

(黒田)パナソニックHDと連携する際の不安な点はありましたでしょうか

 企業と共創・共同開発の経験がなかったのに加え、パナソニックHDというのは大きな企業なので、弊社のような小さい会社が相手にしてもらえるのかというところを、直接契約となったときに不安として持っていたのが正直なところです。アイデアの剽窃・事業化される・・・というような懸念は、正直無かったと言えば嘘になります(笑)
 ただ、そもそもの製品がストレッチャブルLEDであり、弊社の電極という使い方とは少し違ったというところで、バッティング余地は少ないと感じていました。また、担当の西田氏とのやり取りを通じて、そのような心配がないことが次第にわかってきました。

 パナソニックHDの取り組みは使ってもらうために公開しているのであって、自社のみの利益の追求をしない雰囲気を感じました。この技術が活きる分野・モノに使ってほしいという意味合いで話をいただきましたし、技術の担当の方にも技術を活かせるような場面に使っていただきたいというようなお話をいただいたのが印象的でした。

 技術担当の方は、技術的な中身をすごく詳しく教えていただき、またデモ機の貸与にも、気さくに対応していただきましたのですごくありがたかったです。こうした遣り取りを通じて、「この製品開発で良いものが出来たらパナソニックHDに使ってもらえるのではないか」と期待も持つようになりました。